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詳細は先程

童話(@tatanai_douwa)の詳細です

機能的固着の論理パズル

<例題1>
 窓も何もない、四方が壁の部屋にあなたはいる。床には「ろうそく1本、箱に入ったたくさんの画鋲、一度しか着火できないライター」の3つのみ落ちている。
 さて、この部屋には明かりがない。どのように解決するか。

 

 認知心理学のテキストには「機能的固着」という耳慣れない言葉がでてくる。簡単に説明すると、「人は自らの経験や習慣に固執する傾向がある」という意味だ。この「機能的固着」に対する免疫をつけておくと、思考の際に役立つことがある。今回の論理パズルは、その練習にうってつけだ。
 例題の解答は実に単純。

 

<解答1>
 画鋲の箱を壁にとめて、そこに火をつけたろうそくを置く。

 

 壁が燃えるのでは? というツッコミは置いておいて、つまりここでのポイントは「画鋲の箱を使用することに気づきにくい」という点である。これがまさに機能的固着なわけだ。
 箱は、多くの人にとって「単なる入れ物」だ。中身の画鋲の用途は誰でもすぐに思い至るが、その入れ物はそこでは「入れ物」とのみ解釈され、壁にとめてろうそくを入れる容器にする、そういった使い方に思い至ることが難しい。もう少しわかりやすい例題を見てみよう。

 

<例題2>
 他殺体が発見された。現場近くで銃を所持している男性が見つかり、緊急逮捕された。男性の衣服からは硝煙反応(銃を発砲したという証拠)が検出されず、銃を発砲していないことは明らかだった。しかし警察はこの男性を犯人だと断定した。何故か。

 

 機能的固着の簡単な説明をしたので、すぐにわかった人も多いのではないか。

 

<解答2>
 他殺体は撲殺されていて、男性の銃の持ち手から血痕が見つかったから

 

 「銃は撃って人を殺すもの」という機能的固着が、この問題を論理的に解く際の邪魔をする。こういった事例は枚挙に暇がない。
 このように「銃で撲殺」といったような、ある機能を持った物体の論理クイズでの正答のために生じる、いわば「本来とは違った用途」のことを、ここではわかりやすく「真価」と呼ぶことにする。
 ある場面での「真価」に気づけるかどうか、これが思考のエンジンになることがある。パズルの中だけにとどまる話ではないのだ。何かについてアプローチするときに、この思考エンジンが役に立つ場合がある。普段からこのエンジンを働かせるためにも、機能的固着を取っ払って「真価」を見つける訓練をしてみるのはいかがだろうか。ひとつの視座として獲得しておくことを勧めたい。
 練習問題をふたつつけた。もし解答が知りたい方は@tatanai_douwaまでリプライをください。それでは、論理パズル「機能的固着」にお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

<練習問題①>
 部屋にふたつのヒモが垂れ下がっている。ヒモの先端同士を結んで洗濯物を干すための簡易竿を作りたいが、ふたつのヒモの位置が離れすぎていて、一方の先端を持ったままだともう一方の先端を掴むことができない。
 あなたは「ハサミ」のみを使用することができる。簡易竿を作るためにはどうすればよいか。なお、ヒモは人の体重を支えることができない。また、天井に手は届かないものとする。

 

<練習問題②>
 A氏とB氏は賭けをすることになった。A氏がどんぶり2杯のご飯を食べきる前に、B氏がお茶碗1杯のご飯を食べきることができたらB氏の勝ち、というものだ。ハンデとして、A氏が1杯目を食べ終わってから5秒後にB氏が食べ始める、というルールを設けた。
 A氏が勝つためにはどうすれば良いか。なお、A氏は1杯目を食べ終わってから2杯目を食べ始めることとする。また、相手の容器に触ることはできない。