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童話(@tatanai_douwa)の詳細です

友人の書いた小説で勝手に問題を作る(問題編)

 次の文章は、未だ工事(@imada_kouji)の小説『ピーチジョン』の全文である。これを読んで、あとの問い(1~3)に答えよ。

 

 

 空間転移装置の事故でキメラが誕生する話を聞いたことがあるだろうか。装置に猫が紛れ込み、猫人間になってしまった少女のドタバタコメディ漫画でもいい。ポケモンでもいい。ポケモン転送装置を開発したマサキが実験に失敗してポケモンと混ざってしまうエピソードは有名だ。

 しかしそんな事はあり得ない。別々の物が混ざり合うという、そんな事態が発生するならまず人間と服が混ざり合うだろう。

 しかし事故が無いかと言われると、答えはNOだ。むしろ全ての事例において事故が発生していたと言っても過言ではない。
装置の精度が上がり、実用化の見込みが付いたと思われていた頃、実は今までの全ての事例で不具合が発生していた可能性が高いことが判明した。そう、見た目では気が付かないだけで。

 この転送装置による事故の発生は、1人の研究員がきっかけとなり発見された。

 実験中、使用したマウスが凶暴化したり大人しくなったりする事が多々あったが、これは装置によるストレスだろうと思われていた。
 ある時、1人の研究員が一匹のマウスを複数回転送にかけたところ、転送するたびに別のマウスに入れ替わっているような錯覚を覚えた。彼はマウスのDNAを採取、実験後の同じマウスと比較してみたがマウスは同一であった。
 彼の出した結論は、生物が転送装置によって転送される際に、何か大きな体験をしているのではないかという事だった。それこそ、人生を変えるほどの。*1
 その考えに取り憑かれてしまった彼は、とうとう自分を転送装置にかけてしまう。

「あの、すみませんが、ここは何処なのでしょうか」
「何を言っているんですか⚪︎⚪︎さん」
「何故あなたは私の名前を知っているんだ。ここは何処だ!」
 実験室の入り口付近を通りかかった職員と彼の会話だ。
 そのまま彼は職員に掴みかかり、彼の異常な状態が発覚した。

 不測の事態の為に取り付けられていたカメラによって、彼が自ら転送装置に入り自分自身の転送を行った事はすぐに判明したが、問題は彼自身だった。

 顔と名前は一致しているのだが、彼の語る経歴がおかしいのだ。
 ⚪︎⚪︎製薬に勤めていると言い張るが、もちろん彼はここの研究員である。製薬会社に問い合わせてもそんな人はいないという。存在しない大学を卒業し、住所もデタラメであった。
 最近気になったニュース、そして日本の歴代の総理大臣を質問したあと、居合わせた全員がパラレルワールドの存在に思い当たった。

 空間転送の研究は一旦中止され、パラレルワールドに関しての研究が始まった。
 装置による実験はその後、薬を使用して眠らせた彼を使用して行われるようになる。彼は既に元の彼ではないからだ。そして彼は被験体1号と呼ばれ、彼の記憶は装置にかけるたびに変化した。

「転送中に何が見えた」
 突然そう話しかけられ戸惑う被験体1号に、マウス実験での不可解な内容、そして君が志願して確かめることとなったという経緯を話す。
 彼に様々な質問をし、大げさにパラレルワールドの発見を叫び、彼の記憶からパラレルワールドの情報を集める。必要な情報はないと判断されると、彼は眠らされ、転送装置の中へと入れられる。
 その後、国からの莫大な補助金により施設を増やし、もう一台転送装置が作られる事となった。
 科学の発達したパラレルワールドから新兵器や物理学の情報を、そしてタイムマシンの情報を手に入れる事が出来るかもしれないからだ。

 増設された2号機*2は、わざと動作中に電源電圧を変動させたり、インバーターなどの回路を用いて電源そのもののノイズを増やしたり、周波数を変動させたりと、電気的に劣悪な環境を作り出した上で稼動した。

 実験には死刑囚が用いられた。

 結果は初号機とほとんど変わらなかったが、条件を変更した上で何度も実験が繰り返されていった。

 そしてある日、事件が起こる。
 ある条件の下で転送されて出てきたのはまるで猿人のような人間だった。
 言葉も通じず、暴れ出した彼は麻酔銃で眠らされ、拘束された。
 麻酔から覚めた彼は言葉を理解せず、話す事も出来ない、見た目さながら中身もまさに猿人としか言いようがなかった。
「これを初号機で転送したら人語を話すようになるだろうか」
 研究員の一人がそう言い、初号機で彼を転送したところ、彼は完全に消えてしまった。


 その後の調査や実験で初号機に異常は無かった事から、初号機は今まで通り被験体1号の実験用として使われ続けた。

 そして2号機では人体実験は禁止されたものの、動物による実験は行われ続けた。

 しかし、ふたたび動物が変化する事は無く、2号機では何も発見の無い日々が翌年の夏まで続いた。

 ある夏の日*3、研究員が実家から届いた果物を朝早く持ってきた。給湯室に置こうと思っていたが、魔がさした彼が興味本位で箱ごと転送装置に入れてみたところ、出てきた物は一つの大きな果物だった。
 彼は驚き、もう一度転送してみたところ、それは完全に消えてしまった。

 その大きな桃の中にあった種が、人間の胎児に変化していた事は誰も知らないまま。

 

*1:この部分にあるマウスのエピソードは、文章全体から見てどのような役割を果たしているか。答えなさい。

*2:2号機が持つ文章構成上の役割を答えなさい。

*3:ここでの舞台設定が夏である理由を答えなさい。