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一石四鳥の最強ツール「少納言」について

 言葉というのは有限である。造語という例外を除けば、自分たちが使用できる単語や表現は、すべて既存のものだ。自分が書きたいことにそぐう言葉を「既存の言葉たち」から、見つけ続ける。その作業こそが、文章執筆なのだ。

 既存の言葉は、使用された過去が膨大にある。料理人がひき肉をハンバーグにするように、大工が木材を家にするように、言葉は作家や文筆家の手によって「文章」にされてきた。しかしレシピや建築物と違い、それらはあまり参考にされることがない。クックパッドに使いたい食材を入れると、先人たちの料理法が一覧として出てくる。一方で、使いたいと思った言葉が実際に使われている様子を閲覧できるシステムは少ない。いや、少なかった。

 少納言(KOTONOHA「現代日本語書き言葉均衡コーパス」 少納言)という無料のサービスがある。簡単に説明するなら、クックパッドの言葉版である。例えば、上の文章で「そぐう」という単語がある。僕は、この言葉を使用する際に「あれ、そぐわないっていう否定表現はあるけど、そぐうっていう肯定表現はあまり見ないな」という葛藤があった。そうだ、少納言に「そぐう」を入れてみよう。

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 このように、作家によって使用された生きた例が出てくる。前後の文脈も見られるので、クックパッドの例で言うなら「この食材にはこういった調味料の相性が良い」ということが即座に分かる。単純に表現のストックも増えるので、一石三鳥である。

 今は「使いたいと思った言葉」で検索する一例だった。次に、少納言で多様な知識を身につける方法について考えてみよう。例えば、レポートの課題が「谷崎潤一郎」だとする。そうした場合、多くの人はまずWikipediaにアクセスするだろう。Wikipediaは便利だが、通り一遍のことが書いてあるばかりで、あまり生きた素材にはなりにくい。そこで、少納言で「谷崎潤一郎」と入れてみる。

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 谷崎潤一郎について言及された書籍が山ほど出てくる。気になったものをメモして、図書館に出かけよう。このように文献を知る機会も作ってくれる。四鳥目だ。

 「表現を磨く」という行為は、抽象的であり、結果論でしかない。まずは模倣、参考、これが肝要だ。少納言は、そのどちらにも使える最強の「表現ツール」であり、また「文献レファレンスツール」でもある。ブックマークしておいて損はない。