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東武東上線とロベルト

 東武東上線はゴミ。

 珍しく夕方まで埼玉県にいた僕は、夜ご飯を食べに神保町まで出かけようとしていました。東武粗大ゴミ線で池袋まで行き、老人と地蔵の街巣鴨まで山手線、そこからさらに都営三田線(”都営”って見るたびに思うんだけど本当に東京都が運営してるのか?)で神保町まで。ざっと計算して45分くらいの小旅行。埼玉のカフェでのんびりしながら「あ~、ちょっと早めに着こう。俺は天才だから」と思い、何だか機嫌が良かったときの父親(もういません)に貰ったクレドールの30万くらいする時計に目をやりました。18時ちょっと前。約束は19時だったので、余裕も余裕、おそらく途中の巣鴨で地蔵にお百度参りができるくらいの圧倒的な余裕を感じて、心の中のサザンオールスターズが涙のキッスをもう一度求めたあたりで颯爽と、それはもう颯爽とコート(ブックオフで買いました。ブックオフでコートを買う22歳ヤバくないですか)を着て席を立つ。

 池袋が目前に迫ったころ。ウォークマンで昔懐かしのRADWIMPSを聴きながら本を読んでいた僕は、電車が動いていないことに気づきました。「あれ、おかしいな」と思うでしょうか。埼玉素人の方々はそうなんでしょうけど、僕らは埼玉のプロ。埼玉に住むことでお金を貰っています。東京の人は家賃150万くらいの4LLDDDDKで過ごしているらしいので、ざっと毎月148万浮いているのです。プロです。プロは「あ、人身事故だな」と、アナウンスが聞こえるより先に気づきます。おそらく職員より先に気づいている。風です。人身事故の風を感じるのです。

 アナウンスが流れると乗客が次々に文句を言い出しました。鬼のような形相でスマートフォン(通称文明の燃えカス)をタップしています。あれは何でしょうね、Twitterに書いているのでしょうか。「東武東上線」でツイート検索をすると腐るほど出てきたので事件は迷宮入りし、コナンが首を吊りました。早くも今年4回目の人身事故に、呆れながらも対策を講じる埼玉のプロ達。電車のドアが開く前にタクシーの迎車を頼んでいるつわものもいました。僕もその手段を選びました。タクシーで巣鴨まで1000円ちょっと。たぶん違いますが、これがビルドインスタビライザーです。

 タクシーの運転手とくだらない話をしながら夜の街を走ります。巣鴨に着いた時点で19時に。友人に再度ごめんねLINEをします。ちなみにRADWIMPSのくだりのあたりでもう既に最初のごめんねLINEは済ませていました。プロは違います。結局10分遅れで到着。人身事故で車内に閉じ込められながら10分しか遅れなかったことにバカウケしている友人を見下しながら、神保町のイタリアンレストランへ。

 ロベルト、最高の店でした。轢死した方も浮かばれることでしょう。また行きます。