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不倫事件のときのTwitter雑感

 ダイニングから母親の声がして、そういえば夕餉の時間だったと席に急ぐ。冷めると怒るからだ。父親はもう席に着いているはずなので、僕が行けば食卓が始まる。ダイニングに到着すると、何と母親と父親が喧嘩をしている。夕飯は半分くらいなくなっていて、隣人が説教しにやってきている。カオスな状態。自分が食卓に行ったときには、すべて始まっていた。ただただ混乱するばかりだ。身を置くスペースがない。

 

 速度がすさまじい。そう思った。不倫のニュースを知ったのは、すでにほとんどの意見が出尽くして、誰かが誰かにメタ的に怒っている姿を見たときだった。SNSでは、ウケたもん勝ちなので、逆張りに次ぐ逆張り、人と被らない意見を探し、メタ合戦、まとめたがる人、無関心、様々な思惑が「一瞬のうちに」交差する。

 今回の例では、「不倫なんて悪だ」といったきわめて一般的な意見は、ついに目にすることがなかった。やれ人の恋沙汰に口を出すな、やれ不倫にもいろいろある、やれ受けるダメージが違いすぎて不公平、やれ会見が完璧……。これが一日のうちで出尽くす。あとは枯れ果てた食卓にネタ画像が流れ、次第に忘れ去られてゆく。年末に一年のまとめにて再掲されるまで、そっと放置される。

 

 出尽くすまでの速度がはやすぎるよ。もう少しゆっくりと話に花を咲かせたりすればいいのに。批判やメタから入る人は、ウケることを考えすぎて、自分の意見を持っていない気がする。おそらく一歩遅れたらまた違ったメタ意見を編み出していたのだろう。あるいは一歩早く到着していたら、一段階前の意見を投稿していたはずだ。全員がそうなわけではないと思うが、多くはそんな印象を抱く。食玩ばかりの食卓、食器はほとんど割れていて、罵声と説教しか聞こえない。

 食事ができた知らせを飛脚で出せとは言わない。でも、もう少しだけゆっくり着座して、もう少しだけゆっくり食事を楽しむ方が、きっと心は豊かになるはずだ。自戒の意味も込めて。